SPECIAL INTERVIEW | OPAAAP DIRECTOR Vol.1
2022年に日本での展開をスタートした、韓国ソウル発ドッグデザイナーズブランドOPAAAP(オパープ)。
これまでに単独でのPOPUPや「インターペット東京」への出展など、積極的に活動の場を広げてきました。
今回お話を伺ったのは、OPAAAPディレクターのシン・ナリさん。ブランド立ち上げの背景から、プロダクトに込めた想いまで語っていただきました。
—— OPAAAPを始めたきっかけは?
「OPAAAP」は、"Only Pets And All About Pets"というスローガンを略した名前です。
その言葉の通り、犬のためだけのもの、犬のためのすべてを作りたいという想いから生まれました。
—— ブランド立ち上げのきっかけを教えてください。
犬を迎えたときに「どうすればこの子と長く一緒にいられるだろう?」と考えたのがすべての始まりでした。
とてもシンプルな気持ちからスタートしましたが、今では私にとっても、愛犬たちにとってもかけがえのない存在になっています。
—— 立ち上げ前はどのようなお仕事を?
OPAAAPを始める前は、旅行コンテンツの制作をしていて、今でもその仕事は続けています。
その中でアメリカやフランス、日本といったペット文化が先進的な国を訪れる機会が多くあり、多くのヒントを得られました。
—— そこから韓国でブランドを立ち上げたんですね。
当時の韓国には「ブランド」と呼べる存在がほとんどなくて、犬服を作る工場や型紙(パターン)すら存在しませんでした。
最初は本当に手探りで「どうやって進めていけばいいのか」とたくさん悩みました。
—— それでも続けてこられた理由は?
数えきれない試行錯誤を重ね、壁を乗り越えてきたらこそ、今のOPAAAPを形にすることができたのだと思います。
—— OPAAAPのものづくりで大切にしていることは?
OPAAAPはそれなりに歴史を重ねてきたブランドだと考えています。
だからこそトレンドや流行に流されたり、追いかけたりするのではなく、OPAAAPならではの個性やカラーを守り続けることが大切だと思っています。
—— 流行との向き合い方には難しさもありますよね。
そうですね。市場の流れの中で、流行しているアイテムや生地が複数のブランド同士で重なってしまうこともあります。
それでもできる限りオリジナリティやOPAAAPらしさが出るようなアイテムを開発して、そのこだわりや努力が製品にきちんと表れるように心がけています。
—— OPAAAPを象徴するアイテムについて教えてください。
ブランドの理念にも繋がりますが、主力商品の多くは”こだわり”を強く反映したものになっています。
たとえばFrill Knitは2020年ごろに初めてリリースした商品ですが、サンプルだけでも20回以上の試作を重ねるほど、多くのテストを行いました。
—— そこまで試作を重ねたのには理由があるんですね。
犬が着るものなので、ウール素材が多すぎると重くなってしまうリスクがあります。
カシミヤは柔らかくて魅力的な素材ですが、あまりにも繊細すぎるとお手入れが難しいという課題もあります。
そうした点を踏まえ、本当に最適な素材を見つけるために多くの努力を重ねてきました。
—— デザイン面ではどんな工夫を?
当時の犬用ニットはノースリーブが主流でした。そこで動きを妨げない範囲で、OPAAAPらしさを取り入れたデザインを模索したんです。
今では模倣するブランドも増えて、中国ではコピー品まで出回るようになりました。それでも多くのお客さまが"OPAAAPのFrill Knit"を選び続けてくれているのは、細部に込めたこだわりや、ブランドらしさを感じ取っていただけるからだと思います。
そうしてご愛用いただいている皆さまのおかげで、Frill Knitは今でも秋から春にかけて支持される定番アイテムになっています。
—— 毎年の再生産でも改良を続けていると伺いました。
はい。同じものを作り直すのではなく、生産のたびにサイズや素材、シルエットをしっかりとチェックしています。
品質を保ちながら、より良いものにアップデートし続けることを大切にしています。
—— 昨年から新しく挑戦されたアイテムもあるそうですね。
はい。昨年初めて挑戦したのが、ペット用バギーのアイテムです。
韓国では犬を飼っている人の多くが1〜2台のバギーを持っているほど、すでに一般的な存在になっています。
私たちよりも先にバギーアイテムを展開しているブランドはたくさんあります。むしろ後発のアプローチでしたが、だからこそ"OPAAAPらしい個性"と"品質の高さ"を徹底するようにしました。
結果として、多くのお客さまに支持していただけるアイテムに育ってきたと感じています。
—— OPAAAPならではの工夫はどんな部分でしょうか。
一般的なバギー用アイテムは薄い綿をボンディングして磁石をつけるケースが多いのですが、私たちはリバーシブル仕様にして、その間に10オンス以上の中綿を入れています。
実際に触れるとしっかりとした厚みがあり、犬が顎を乗せたり足をかけたりしても負担にならない仕上がりです。
この厚みが心地よさにつながり、継続的にお使いいただいているお客様からも高い評価をいただいています。
—— ディテールにもこだわりを感じます。
下部にはパイピング処理を施しているのですが、OPAAAPらしい雲型のデザインにすることで縫製の難易度が非常に上がっています。
それでも仕上がりの美しさと形状の安定性を保つために、この仕様を取り入れています。
そのため、私たちのアイテムを模倣するのは現実的に難しく、これまでコピー品が出ていないことも特徴の一つです。
縫製工場からも「よく作られている」「作るのがとても難しい」と評価をいただいていて、ものづくりのプロからそのような声をいただけるのも誇らしく思っています。
—— 今後の展開について教えてください。
バギーアイテムはすでに3シーズン目に入り、多くの方に気に入っていただけて本当にありがたく思っています。
ただ、ここに満足することなく、次のFWシーズンや来年のSSシーズンにはさらにアップグレードしたバージョンをお届けできるよう努力を続けています。
どうぞご期待ください。