SPECIAL INTERVIEW:OWWW STUDIO DIRECTOR
天然素材へのこだわりで支持を集める OWWW STUDIO。
なぜオーガニックにこだわるのか。生地を選ぶ際の基準や、デザインの着想源はどこにあるのか。
ブランド誕生の背景から成長の裏側まで、その歩みをOWWW STUDIO代表のハンナさんにじっくりと伺いました。
OWWW STUDIOの想いが凝縮されたインタビューを、ぜひご覧ください。
OWWW STUDIOを立ち上げたきっかけを教えてください
OWWW STUDIOを“オーガニック・天然素材のブランドにしよう”と決めたきっかけは、一緒に暮らしていた猫のレオでした。
ある日、レオが皮膚病にかかり、全身の毛を剃らなくてはならなくなったんです。
不安そうにしているレオを少しでも安心させようと、急いで赤いTシャツを着せました。
ところが数日後、レオの排泄物が真っ赤に。
原因は、Tシャツをグルーミングのように舐め続けたことで、繊維が体内に入り込んでしまったことでした。
驚きと心配でいっぱいになった出来事でしたが、その時はっきりと気づいたんです。
「口にくわえたり舐めたりする動物には、ただ可愛いだけでなく、“安全な素材”で作られた服が必要だ」と。
この経験こそが、今のブランド理念と素材選びの基準をつくりあげ、変わらない大切な軸となっています。
生地や素材を選ぶ際に大切にしていることは?
まず一番に見るのは、「この生地が何で、どのように作られたのか」です。
OWWW STUDIOでは常に天然素材を最優先に、なるべく加工を抑えた生地を選んでいます。自然に近いほど、動物にも環境にもやさしい。そう信じているからです。
だからこそ、素材については今も学び続けています。
一日中リサーチに没頭して終わる日もあるくらいなんですよ(笑)
これまでで一番大変だったことは?
私は服飾を学んだことも、アパレル業界で働いた経験もありません。
以前の仕事を辞め、オーガニック素材の魅力に惹かれて、自分でミシンを踏みながら服を作り始めた。それがOWWW STUDIOのはじまりです。
けれど、スタートした当初はいつも自分を疑っていました。
「オーガニック素材だけで、本当に服を作り続けられるのか?」
「私の好きなシンプルなデザインを、誰かが選んでくれるのか?」
「私が作る服は、本当に犬や猫にとって心地いいのか?」
「この服に、お金を払う価値があると思ってもらえるのか?」
そんな問いをひとつずつ乗り越えていく過程が、私にとっていちばん大きな挑戦でした。
振り返れば、それは“自分を信じる力”を育てる時間でもあったと思います。
今も迷う瞬間はありますが、私の価値観を理解し、応援してくれる方々の存在が、歩み続ける力になっています。
OWWW STUDIOで使用している素材や原料について教えてください
OWWW STUDIOで使用するオーガニック生地は、必ず国際認証(GOTS、OCS)を取得したものだけ。
オーガニック生地とは、ただ「コットン」であればいいわけではありません。少なくとも3年間、農薬や化学肥料を使っていない土壌で綿を育て、収穫後も自然な方法で加工する。そのすべての工程を経て、はじめて「オーガニック」と呼べます。
そして、その過程をきちんと証明してくれるのが、国際認証です。
市場には「オーガニックコットン」と表記されながら、実際には認証のない生地も少なくありません。
生産過程が不明瞭な素材は、OWWW STUDIOでは“オーガニック”としては扱いません。
オーガニック以外にも、季節に合わせてさまざまな天然素材を取り入れています。
夏は、通気性と抗菌性に優れた100%ピュアリネンのワンピースが人気。着るほどにやわらかくなり、体になじんでいく心地よさは、リネン素材ならではの魅力です。
また、漂白や染色をしていない無加工コットン100%の生地もよく使用します。化学的な工程を極力減らした素材だからこそ、自然な色味や質感を楽しみたいお客さまに喜ばれています。
OWWW STUDIOにとって「良い製品を作る」とは?
私にとって“良い製品”とは、ただ見た目がかわいいだけの服ではありません。
「なぜこれを作るのか」「どんな想いで作ったのか」その背景まで込められていることが大切だと思っています。だからこそ、ものづくりの始まりはいつも同じ問いから。
「この服は、本当に動物にとって心地いいだろうか?」
私が信じる素材、デザイン、そして製法が、お客様にも真っ直ぐに伝わったとき。その瞬間にはじめて、その服は“良い製品”になるのだと思います。
理想的なペットウェアとはどんな服だと思う?
私が考える理想のペットウェアのキーワードは「安全」です。
今は猫のレオに加え、11か月のマルプー・カムジャと暮らしています。カムジャは何でも口に入れてしまう時期。だからこそ、服作りでは特に“安全”を意識しています。
動物たちは、何かを確かめたいとき、手ではなく口で触れます。だからペットウェアで大切にしているのは、この3つ。
1.口に入れても安心な素材であること
2.噛んだり舐めたりしづらい、シンプルなデザインであること
3.動きを妨げず、自由に過ごせること
服を作るときはいつも想像します。
「レオがこれを舐めたら?」「カムジャがこれを噛んだら?」
思い通りに着てくれることは少ないけれど(笑)、どんな着方をしても安心できる服。それが私の理想です。
使用している機械や新しく導入した設備があれば教えてください。
OWWW STUDIOのアトリエには、基本のミシン4台、特殊ミシン2台、刺繍ミシン4台、そしてボタン付け機1台。合計11台の機械が並んでいます。
ブランドを始めた当初は、たった2台のミシンからのスタート。必要に応じてひとつずつ迎え入れ、少しずつアトリエを整えてきました。実は私、ちょっと“機械オタク”なところがあって、理想の設備を見つけると夢にまで出てくるんです(笑)
OWWW STUDIOではすべての服を、最初から最後までアトリエで手作業で仕立てています。だからこれらの機械は、単なる道具ではなく、大切な「作業仲間」なんです。
製作過程において大切にしていることは?
OWWW STUDIOでは、一着の服をひとりのスタッフが最初から最後まで仕立てるハンドメイド方式を大切にしています。
服作りにはいくつもの工程がありますが、それらをひとつの流れとして同じ手で仕上げることで、全体のバランスや縫製の精度、仕上がりの美しさが格段に高まると感じています。
もちろん時間も手間もかかります。けれど、その分だけ誠実で完成度の高い一着をお届けできると信じています。アトリエのメンバーは、一着一着をまるで手紙を書くように心を込めて仕立てています。
それこそが、私たちが守り続けたいOWWW STUDIOらしい作り方です。
OWWW STUDIOらしいデザインとはどんなスタイルですか?
私がデザインを考えるとき、まず重視するのは“機能性”です。デザインと機能は別々の存在ではなく、互いにリンクしているものなんです。
「少しでも快適に動けるか?」
「動物たちがストレスなく着られるか?」
「噛んだり引っかけたりする要素が少ないか?」
そんなことを常に考えながら、不必要な装飾を削ぎ落としていくうちに、OWWW STUDIOらしい素朴で洗練されたデザインが生まれました。
また、私たちの服は、体の不自由な子やシニアの動物たちにも多く選ばれています。製作の段階でも、そういった子たちの着やすさを想像しながら形にしています。最近では、韓国の動物病院でもOWWW STUDIOの服を選んでくださる先生方が少しずつ増えてきました。
「うちの子が病気でも、高齢になっても、ずっと着せてあげられる服」
そんな想いを込めて、これからもデザインを続けていきたいと思います。
OWWW STUDIO
韓国ソウルに拠点を置く、オーガニックペットアパレルブランド。
全て天然素材の生地を使用し、職人たちが手作業で制作するドッグウェアを中心に、近頃は日本やアジア諸国でも活動を展開。
同じく韓国のドッグウェアブランド「OPAAAP」とのコラボアイテムも日本で話題に。